栄養療法とは
人は栄養で生きている
人間はたくさんの細胞の集まりでできています(生物は全てそうですが)。
細胞は必要な役割を果たしながら、古い細胞が新しい細胞に入れ替わって生命を維持しています。
その一つ一つの細胞の機能が低下すれば不調や病気になることはお分かりでしょう。
細胞の機能が低下する原因として必要としている栄養素が不足することがあげられます。
栄養素はタンパク質、脂質、糖質、ビタミン、ミネラルといった5大栄養素が必要で、そこに食物繊維、水を入れて7大栄養素とも言われています。
栄養素が不足して起こった不調や病気が「薬」で治るでしょうか?
病院にいってもなかなか良くならない不調、病気。それはもしかしたら栄養素不足が原因かもしれません。
栄養素がなぜ不足するのか?
栄養が足りなくなる原因には
- 食事の内容が不十分
- 胃腸が弱く食べていても吸収できていない
- 加工食品、食品添加物の取りすぎ
- 栄養の働きを邪魔する有害ミネラルの蓄積や慢性炎症が起きている
などが挙げられます。
栄養療法とは
まず栄養素の不足によって起こる不調、病気を栄養素が足りなくなっている原因を特定します。
次に不足した栄養素は食事やサプリメントを用いて細胞機能を改善させます。
そして個々の原因に対して生活習慣改善や感染症の治療、ホルモン補充など個別のアプローチを行い最終的に細胞が自ら再生できるようにしていきます。
栄養療法は細胞の機能を最大限に高めることもできるため、病気の予防、美容、パフォーマンスを上げたいアスリートやビジネスマン、ひいては受験生などにも大変有益な医療アプローチです。
根本原因
- 食事(偏った食事、質的栄養不足)
- 運動、睡眠不足
- 慢性的な緊張、ストレス
- 慢性炎症(上咽頭炎、歯周病、腸の炎症)
- 有害金属、毒素の蓄積
- 活性酸素
- 血糖調節障害
この7つの根本原因から全ての病気、不調が起こります。これらの原因によってミトコンドリア機能の低下、ホルモンの異常、免疫力の低下、脳内伝達物質の異常など様々な症状が起こります。特に成長期のお子様では発育の障害が出てしまいます。
食事(偏った食事、質的栄養不足)
現代人はカロリーは足りていてもビタミン、ミネラルといった微量栄養素が足りていません。厚生労働省の統計でもほとんどの成人が基準値に達してないことが示されています。
これは食材に含まれる栄養素が減ってきたこと、加工食品が増え製造工程で栄養素が抜け落ちてしまうこと、胃腸の働きが弱く消化吸収ができないことが原因です。
ビタミン、ミネラルは細胞内で行われる多くの化学反応になくてはならない物質です。エネルギーを産生するミトコンドリアの機能が低下すれば疲れやすくなります。脳内伝達物質の生成が低下すればうつなどの精神症状が出ます。
もう一つ、タンパク質不足も挙げられます。タンパク質は体を構成する最も必要な栄養素ですが糖質に偏った現代食のためタンパク不足も顕著です。またタンパク質は化学反応を進める「酵素」としての役割も重要で、タンパク不足で化学反応がスムーズに進まず、前述したビタミンやミネラル不足と同様の結果を引き起こします。
運動・睡眠不足
適度な運動は活性酸素レベルを下げる作用があり、運動不足が続くと活性酸素が増へ細胞機能が低下します。
睡眠は1日の身体のリセットと成長に必要なものです。
人間は睡眠中に日中に体に溜まった活性酸素を除去し、傷んだ細胞を修復し、細胞内に溜まった不要なタンパク質をお掃除します。
夜ふかしをするとこれらのリセットができず、活性酸素や不要なタンパク質を翌日に持ち越すことになります。
慢性的な緊張やストレス
根本原因の、特に副腎疲労の原因の半分以上はこの「慢性の緊張やストレス」にあると思います。
緊張やストレス(肉体的、精神的いずれも)は体内に活性酸素を増やし、ミトコンドリア機能の低下を引き起こします。
また抗ストレスホルモンである「コルチゾール」を多量に消費します。
コルチゾールには血糖の安定、炎症の抑制、免疫の調節、概日リズム(1日のリズム)の調節、他のホルモンの活性化など多くの働きがあります。
コルチゾールが足りなくなると慢性疲労や不眠、アレルギー疾患、月経困難など様々なトラブルが引き起こされます(副腎疲労)。
中には幼少期からの親子関係や夫婦関係などが原因であり栄養補充と同時に真理的アプローチが必要な場合があります。
慢性炎症
炎症とは異物を体内に入れないための体の(免疫細胞の)反応です。
炎症が起こりやすい場として上咽頭(鼻の裏側)、口腔内、そして腸が挙げられます。
これらの部位に慢性の炎症があると炎症物質が作られ続けます。炎症物質は血流に乗って全身に広がり炎症のない場所で新たな炎症を引き起こします。
血管に炎症が起これば動脈硬化に、肝臓に炎症が起これば脂質異常や糖尿病といった代謝疾患に、皮膚に炎症が起こればアトピー性皮膚炎に、脳に炎症が起これば精神疾患や子供の発達障害に繋がります。
炎症は副腎皮質ホルモンであるコルチゾールをたくさん消費するためコルチゾールの低下が起こると血糖調節障害や免疫低下などの副腎疲労の原因にもなります。
有害金属や毒素の蓄積
有害重金属(アルミニウムや鉛、水銀など)、カビ毒、化学物質などは通常は肝臓が解毒し、尿、便、汗などから体外に排泄されます。
体内に入る毒素が多すぎたり、解毒力の低下によって体内に毒素が蓄積するとミトコンドリアをはじめとした細胞機能が低下し慢性疲労やブレインフォグの原因となります。
活性酸素
人間は酸素を使ってエネルギーを作って生きています。活性酸素は健康に生きていても常に排気ガスのように細胞から排出されています。私たちは抗酸化物質によりこの活性酸素を適切に除去することによって細胞のダメージを防いでいます。
この活性酸素が体内で増えてしまったり、抗酸化力が低下して活性酸素濃度が上昇することで細胞がダメージを受けミトコンドリア機能が低下したり組織が劣化(老化)してしまいます。
糖質の過剰摂取は活性酸素レベルが上昇します。
喫煙は活性酸素そのものを吸っているようなものです。
飲酒はアルコールを分解するときに、多くの活性酸素が発生します。
血糖調節障害
血糖調節障害(かくれ低血糖)は自律神経の失調を引き起こします。
食後の高血糖は活性酸素を増やし、反応性の低血糖でコルチゾールやアドレナリンといったホルモンの過剰分泌が生じます。
ミトコンドリア機能の低下も引き起こし、副腎疲労、腸内細菌叢異常(ディスバイオーシス)なども起こり不調の悪循環に陥ります。
栄養療法はこんな人におすすめ
栄養療法は通常の保険診療が不得意な原因がはっきりしない不定愁訴に有効です。また細胞を元気にする医療ですので仕事やスポーツのパフォーマンスを上げたい、もっと元気になりたいといった上昇思考のかたにもおすすめします。
- 慢性的な疲労(副腎疲労)
- うつなどの気分障害
- アトピー、喘息などのアレルギー疾患
- 原因不明の腹痛、SIBO、リーキーガットなどの消化管疾患
- 認知症
- 小児の発育障害
- 原因不明の痛み
- 美容
- 健康増進
- スポーツやビジネス、受験勉強などのパフォーマンス向上
病気(不調)になるメカニズム
7つの根本原因が最初にダメージを与えるのは「ミトコンドリア機能」と「副腎」です。
ミトコンドリアは細胞内でエネルギーを作る小器官。副腎はコルチゾールというホルモンを分泌する臓器です。
この2つのダメージが免疫を低下させ腸内環境を悪化させます。リーキーガットになると肝臓に腸内の毒素が流れ込み肝機能の低下が起こります。
腸の炎症は根本原因を悪化させ、肝機能の低下は低血糖や毒素の蓄積という根本原因を作り出します。
この根本原因⇄ミトコンドリア機能低下、副腎疲労、リーキーガットという悪循環が病気(不調)になるメカニズムです。
栄養療法を受ける前に知って欲しい事
栄養療法を行うにあたって以下の考えを知っていただく必要があります。特に症状の重たい方ほどこれらの検査、診断が必要になってきますのである程度理解されてから受診されることをお勧めします。
栄養療法の流れと各種バイオロジカル検査
1無料相談
栄養療法がどんなものかわからない、自分に合っているのか、どれくらい費用がかかるのかなど、カウンセラーがお話を伺います。事前にメールにて相談を受け賜ります。
メールアドレス eiyo.miyamotocl@gmail.com
※お電話での相談は出来ません
2診察
3検査
根本原因を特定するためのバイオロジカル検査
栄養解析採血とミネラル検査(オリゴスキャン)を最初に行う検査としてお勧めしております。
まずは食事、サプリメントで改善が得られなかった場合、他の検査でより詳しく知ることが可能となります。
まずは自分を知る、栄養解析採血
栄養療法独自の数値の解釈を行い、足りていない栄養素や代謝の問題点を推定します。
採血で推定できること
- 足りない栄養素
- ミトコンドリア機能
- 副腎疲労の有無
- 慢性炎症
- 酸化ストレス
- 胃腸の状態
検査項目
白血球、赤血球、血色素、ヘマトクリット、血小板、白血球像、網状赤血球
総蛋白、アルブミン、A/G比、タンパク分画、AST、ALT、LDH、ALP、γGT、コリンエステラーゼ、総ビリルビン、直接ビリルビン、総コレステロール、LDLコレステロール、HDLコレステロール、中性脂肪、尿素窒素、クレアチニン、尿酸、CK血清ナトリウム、カリウム、クロール、カルシウム、マグネシウム、亜鉛、銅、無機リン、鉄、フェリチン、総鉄結合能、UIBC、アミラーゼ、血糖、ヘモグロビンA1c、1.5AG、インスリン、ペプシノーゲン1.2、ピロリ抗体、25OHビタミンD、TSH、FT4、FT3、総ホモシステイン、高感度CRP
オプション:脂肪酸分画(+3,000円)、酸化LDLコレステロール(sd-LDL)(+3,000円)
栄養解析採血の費用
費用(税込) | |
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初 回 | 18,000円 |
フォローアップ | 15,000円 |
検査結果はおよそ2週間で出ます。
後日の結果説明には別途診察料(5,500円)がかかります。
※初回に血液検査とオリゴスキャンをセットで行う場合
合計36,900円→33,000円
足りないミネラルと有害金属がわかる オリゴスキャン、毛髪ミネラル検査
多くの代謝酵素には鉄、亜鉛、銅、マグネシウムといったミネラルが補酵素として必要です。
有害ミネラルはミトコンドリア機能や脳機能を低下させます。
オリゴスキャン
手のひらの4か所に光を当てて細胞内の必須ミネラルと有害金属を測定します。
毛髪ミネラル検査
毛髪を3g用いて毛髪内のミネラル(必須ミネラルと有害金属)を測定します。
オリゴスキャンとの違いは体内の蓄積量を見るのがオリゴスキャン、有害ミネラルの排泄力を見るのが毛髪ミネラル検査です。
ミネラル測定検査の費用
費用(税込) | |
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体内金属量・有害金属蓄積測定(オリゴスキャン) | 18,900円 |
費用(税込) | |
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毛髪ミネラル検査 | 27,000円 |
※初回に血液検査とオリゴスキャンをセットで行う場合
合計36,900円→33,000円
尿有機酸検査
尿中には体内で行われる代謝の最終産物が排泄されます。その代謝産物を測定することによって
- 腸のカビ(特にカンジダ)や悪性細菌の増殖の有無
- ミトコンドリア機能
- 神経伝達物質(セロトニン、ドーパミン、ノルアドレナリン)の過不足
- 解毒の状態
の状態を確認します。
特に腸管カンジダに対しては多くの検査の中で最も感度が高い検査です。
尿有機酸検査の費用
費用(税込) | |
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尿有機酸検査 | 44,000円 |
※検査送料が別途かかります。
IgGフードアレルギー検査(遅延型フードアレルギー)
腸管バリア検査
リーキーガットの状態を知る検査として2つの検査があります。
IgGフードアレルギー検査
アレルギーには即時反応型アレルギーと遅延反応型アレルギーの2つがあります。
一般的にはアレルギーというと食べた直後から数時間以内に湿疹や痒みなどの症状が出ることと考えられます。これは即時反応型アレルギーと言って通常、医療機関で行われるアレルギー検査はこの即時反応型(IgE)です。遅延反応型(IgG)アレルギーは数時間から数日経って頭痛、倦怠感、気分障害、下痢、腹痛など様々な不調として現れるためアレルギーと気づかないまま不調が続くことがあります。
遅延反応型アレルギー検査は反応している物質が多いほどリーキーガットの状態が悪いということを見る検査です。また治療中に避けるべき食材が分かります。
腸管バリア検査
リーキーガット(Leaky Gut 漏れる腸)は、腸管上皮に炎症が生じてタイトジャンクションが開き、通常は通せない未消化の食物分子やカンジダなどが通過できる状態を指します。
この検査では、主要な4つのマーカー(カンジダ、ゾヌリン、オクルディン、LPS)に対するIgG抗体+c3dおよびlgA抗体(全8項目)を測定します。
費用
費用(税込) | |
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120項目(セミパネル) | 39,000円 |
腸管バリアパネル | 30,000円 |
コルチゾール日内変動検査(副腎ストレス検査)
副腎から分泌されるホルモン、コルチゾールは生命維持に欠くことの出来ない大切なホルモンです。コルチゾールのレベルは起床時が一番高く、徐々に下降していき、就寝時には最も低いレベルになり、安らかに眠りに着くことが出来ます。低血糖、慢性炎症、ストレス等によってこの「日内変動」が乱れると、疲労や不眠などの体の不調につながっていきます。起床から就寝まで1日4回の唾液採取によってコルチゾールの日内変動を測定します。
コルチゾール日内変動検査(副腎ストレス検査)の費用
費用(税込) | |
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副腎ストレス検査の費用 | 33,000円 |
総合便検査(GI-MAP)
GI-MAPは現在最も腸内環境が詳しくわかる便検査です。
・共生細菌(善玉菌)、日和見菌、悪性細菌の増加、減少
・病原菌や寄生虫の感染
・カビの増殖
・消化管の消化力
・腸粘膜の炎症状態
・ピロリ菌感染の有無、毒性のある遺伝子型の特定(ピロリ菌の感度は最も高いです)
など詳しく見ることができます。
栄養療養でいろいろな治療を試したがいまいちよくならないといった場合、腸管の慢性感染が原因の場合があります。その場合病原体に合わせた抗生物質やサプリメントを使用することで改善することがあります。
レポートサンプル
費用(税込) | |
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総合便検査(GI-MAP)+ゾヌリン検査 |
70,000円 |
※ゾヌリンはリーキーガットを悪化させる物質です。一緒に測定することをお勧めします。
4治療
栄養療法の治療の流れは以下のようになります
- 根本原因へのアプローチ
最も大切なことは生活習慣の改善です。
次に血糖値を安定させること。そして腸内環境を整えることです。
食事は5F(砂糖、グルテン(小麦)、カゼイン(牛乳)、カフェイン、アルコール)を減らすことから始めます。
低血糖血糖対策として補食を行い血糖値の安定をはかります。 - ミトコンドリア機能の回復と副腎疲労の治療
ミトコンドリアが元気でないと全てが始まりません。また副腎疲労による免疫低下で腸内環境が改善しないと治療は進みません。
ミトコンドリア機能、副腎疲労の改善が栄養療法の鍵といっても過言ではありません。 - 腸カンジダ、ピロリ菌、SIBOの除菌治療
ミトコンドリア機能と副腎疲労がある程度改善したところで腸内細菌、カンジダの治療を行なっていきます。 - 肝機能改善によるデトックス
腸が治ると肝臓の機能が回復し、体にたまった有害物質の解毒が行われます。
解毒が進むとミトコンドリア機能がさらに回復します。
有害ミネラル蓄積が多い人はデトックスを追加するといいでしょう。
治療のコツ
●食事・運動・睡眠
栄養療法において食事、運動、睡眠を改善させることは絶対に必要なことです。食事だけに重きを置く人が多いで
すが、運動、睡眠に対するアプローチは「必須」事項でここをしないと改善は見込めません。
●ストレス対策
副腎疲労の原因として慢性的なストレスが問題となります。
ストレス源が分かっていても対策が出来なければ決して改善は見込めません。
根本原因の改善で治療の7割は終わったと言えます。まずは焦らずに根本原因の治療をしっかり行いましょう。