高血圧症

血圧とは?

血圧は 「血管の硬さ(しなやかさ)」 × 「流れる血液量(水分量)」 で決まります。

高血圧の基準

収縮期血圧が140mmHg以上、または拡張期血圧が90mmHg以上の場合を高血圧と言います。

高血圧の原因

動脈硬化

動脈硬化とは血管の壁が硬くなり、弾力性(しなやかさ)が低下した状態を言います。老化によっても少しずつ血管は硬くなっていきますが、動脈硬化は血管壁が病的に進んでいる状態のことを言います。

動脈硬化を進める原因

活性酸素と炎症

皮膚は紫外線によって老化が進みます。これは紫外線によって皮膚に活性酸素が発生するからです。同様に動脈壁も活性酸素によって硬化(老化)します。
活性酸素の発生源として、高血糖、喫煙、飲酒、肥満、ストレス、睡眠不足などが挙げられます。
さらにコレステロールが酸化すると動脈壁に沈着して動脈硬化が進みます。

体内に慢性的に炎症が存在すると、炎症物質が血流に乗り、全身の血管に炎症が起こります。
慢性的な炎症の場として代表的なのが歯周病脂肪肝腸内細菌の異常です。

交感神経の過緊張

交感神経が緊張状態になると動脈が収縮するため血圧が上昇します。低血糖や慢性的なストレスによるアドレナリン上昇などが原因となります。

高い血圧を放置すること

血圧が高くなると血管の内側の細胞がダメージを受けてより血管に炎症が起こり動脈硬化が進みます。

なぜ血圧を下げなければいけないのか?

動脈硬化が進むと、血管が詰まる脳梗塞心筋梗塞といった重大な疾患につながります。
また細い動脈によりダメージが強く現れます。毛細血管の豊富な腎臓では腎機能が低下し不要なものを尿から排泄する力が低下します。脳では認知症が進みやすくなります。
さらに血管壁が脆くなると血管が破裂し脳出血が起こります。
血圧が高い状態を放置すると動脈硬化が進んで重大な病気に発展するからです。
血圧は適切な範囲にコントロールしなくてはいけません。

高血圧の症状

多くは無症状で経過するため健診などで初めて指摘されることが多いですが、血圧が高いと頭痛、肩こり、めまいなどの原因になることがあります。

高血圧の治療

お薬(降圧剤)

高血圧の治療薬には様々な種類の薬剤があります。多く用いられているものにカルシウム拮抗薬、ARB(アンジオテンシンII受容体拮抗薬)、ミネラルコルチコイド受容体拮抗薬などがあり、おもに血管を広げて血圧を下げる作用があります。その他利尿剤といって血液の水分量を減らす薬剤もよく使用されます。

動脈硬化に対する治療

動脈硬化に対してはビタミンEやn-3系脂肪酸(EPA、DHA、エゴマ油、アマニ油など)の摂取有用です。食事、お薬、サプリメントなどがあります。また動脈硬化を悪化させる脂質異常症や糖尿病、高尿酸血症がある場合はその治療も一緒に行います。歯周病、脂肪肝、肥満といった炎症も動脈硬化の原因の一つですので炎症対策も必要です。

塩分制限

塩分の摂取量を減らすことも大切ですが、どんな塩を使うかがもっと大切です。
血圧を上げやすいのは精製された真っ白な塩で原料となる海水から塩化ナトリウムだけを精製したものです。精製された塩は避けてカリウムやマグネシウムといった他のミネラルを含む天然の塩(海塩、沖縄のぬちまーす、岩塩など)を使いましょう。カリウムやマグネシウムは血圧を下げる作用があります。また高濃度マグネシウムのサプリメントも有用です。

糖質制限

あまり知られてませんが、塩分と同等、もしくはそれ以上に糖質の摂取が体液量を増やします。
1個のブドウ糖に2個の水がくっつくので糖質をたくさん摂取するとそれだけ体液がたまります。
また過剰な糖は「糖化」という反応を動脈に起こします。これは「酸化」と同じ作用があります。

高血圧症に対する生活習慣改善

食生活

減塩、減塩と声高に言われていますが、もっと大切なのはタンパク質をもっと食べること、糖質を食べすぎないことです。血管壁はタンパク質からできたコラーゲンで構成されています。材料となるタンパク質に不足があれば血管壁の質が悪くなります。

体を錆びつかせる食生活
糖質のとりすぎ

AGEの産生は酸化ストレス源となり、多すぎるインスリン分泌は酸化LDLコレステロールを増やします。特に避けたいのは果糖ぶどう糖液糖などの異性化糖です。

酸化した油

高温調理した食事にはトランス脂肪酸や過酸化脂質が多く含まれます。また安価な植物油は酸化もさることながら炎症を引き起こすn-6系脂肪酸を多く含むため避けましょう。
青魚に含まれるEPAやDHA、亜麻仁油やエゴマ油などに含まれるn-3系脂肪酸は炎症を抑える働きがありますが、酸化しやすいため熱を加えずに使用します。オリーブオイルやココナッツオイルは酸化に強い油でお勧めです。

睡眠

眠りのホルモンと言われる「メラトニン」は睡眠を誘導するだけでなく、強力な抗酸化物質でもあり、寝ている間に体内の抗酸化に活躍します。夜更かしをして十分にメラトニンが出ないと翌朝まで酸化ストレスを持ち越すので控えましょう。12時前にはベッドに入ってスマホを見ないようにします。

運動

ウォーキングなどの負荷の低い適度な運動は抗酸化酵素の活性を高めます。
適度な運動は血圧を下げる効果があります。

抗酸化物質の摂取

食事・運動など生活習慣は大切ですが、忙しい日常でなかなか気を使うことが難しいとおもいます。抗酸化物質としてはビタミンC、ビタミンEを代表に様々な抗酸化物質がサプリメントとして手に入ります。当院でも薬をやめたい、薬の治療に疑問がある方には抗酸化サプリメントをお勧めしております。

ストレス

ストレスは活性酸素を増やします。やはりストレスは万病の元なのです。ストレス源から逃れられない場合は瞑想などを利用するといいでしょう

禁煙・適度な飲酒

喫煙は活性酸素を体内に取り入れているようなもので、酸化ストレス源の王様です。百害あって一利なし。また過度のアルコールも活性酸素を産生します。飲むなら抗酸化物質の多い赤ワインがお勧めです。

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